<10月4日追記>【オリックスに支援打診か、街路樹植え替え費約1600万円納付命令などニュースまとめ】ビッグモーターの不正を追いかける
2023年10月4日ビッグモーターの保険水増し請求が発覚
「クルマを売るならビッグモーター」と佐藤隆太が口ずさむCMがおなじみの中古車販売買取会社ビッグモーター。
先日、お客様のクルマをわざと傷つけ、損害保険金を水増し請求していた悪質な不祥事が発覚しました。
TBS NEWS DIG (参照 2023-07-18)
この報道をきっかけに、ビッグモーターがひた隠しにしてきたさまざまな不祥事が、立て続けに明るみに出ることとなりました。
不祥事の裏に潜む会社の恐るべし体質。中古車販売買取業というサービスへの信頼を大きく損ねることとなり、業界の損失は想像以上のものになりそうです。
ここでは、ビッグモーターが起こした過去の不祥事から、直近で噴出した数々の不正などを時系列にまとめました。
ビッグモーターの過去の大きな不祥事
実はこのビッグモーターは、過去に数多くの不祥事を起こしていたのです。
(このような企業が民放各社でCMを大量に流していたのですから、開いた口が塞がりません)。
店長の罰金支払い問題
社内で自動車保険の契約について月間目標額が定められ、目標を下回った販売店の店長が上回った店長に現金を支払っていたことが明らかになりました。
ビッグモーター側は当初、会社からの強制ではなく、社員間の慣行であると説明していましたが、後に全社員宛てへ送られた兼重社長名での社内メールで、罰金についての厳しい言及があることが判明しました。
これは社員間の慣行という当初の説明から大きく逸脱した内容でした。
買取代金の詐取で社員が逮捕
一旦支払った買取代金を「書類の不備」を口実に返金させるという悪質な手口で、客22人から約2,400万円をだまし取ったとして、ビッグモーター多摩店の元従業員が逮捕されました。
スピードメーターの未検査による走行距離を水増しなど、不正車検の実施
スピードメーターの誤差を検査しないまま、「保安基準適合証」を交付するという不正車検を実施していたことが明らかになったほか、一部の店舗で不正な車検が実施されていたことが分かりました。
これらの不正行為は、顧客の信頼を損ない、企業のイメージダウンにもつながっているはずですが、不正の深層に迫るまでには至らなかったため、今回のような前代未聞の不祥事が起こってしまったといえるでしょう。
次から次へと噴出する不正、パワハラ事案
ビッグモーターの保険水増し請求問題が報じられて以後、同社の不正行為が相次いで発覚しています。
不正の温床とされる店舗工場に対しては、ビッグモーター全国34ヶ所の事業所へ国交省の立ち入り検査が行われています。
また、下請け会社への値下げ要求や不当な車検強要など、社外関係先に対しても強い圧力を講じていました。
さらに驚くべきは、このような企業の体質からなのか、さまざまなパワハラ事案が噴出している件です。
残業代未払いやパワハラ訴訟が明るみになり、兼重社長がメディアを痛烈に批判するLINEでのメッセージが店長宛に送られるなど、あまりのブラック企業体質に世間からも驚きの声が日に日に強くなっています。
街路樹への除草剤散布
ビッグモーターは店舗や工場にとどまらず、社外でもあまりに利己的な対応をしていました。
店舗前にある街路樹に除草剤を散布していた問題です。
2022年8月、群馬県太田市にあるビッグモーター店舗前の街路樹が枯れていると太田土木事務所に情報が寄せられました。
群馬県警太田警察署と太田土木事務所は、原因を特定するために土壌の成分分析をしたところ、除草剤の成分が検出されたことから、同年11月に被害届が提出されました。
さらに情報提供を求める看板を設置したところ、この看板と枯死した街路樹、そして店舗が一緒に写っている写真がSNSに投稿され、他の複数の店舗前の様子もGoogle ストリートビューなどの写真とともに投稿される事態となるなど、全国的に行われていたことを裏付ける結果となりました。
故意に街路樹や植栽を損壊した場合、刑法の器物損壊罪にあたりますし、道路法で定められた「道路附属物損壊罪」にもあたりえます。さらには民法上の不法行為が成立し、損害賠償責任を負う可能性もあるというわけですから、これはもはや刑法民放にも抵触する由々しき事態といえそうです。
街路樹への除草剤散布問題に対し、ビッグモーター側は2023年7月28日夜にプレスリリースを公表し、複数店舗について過去の清掃活動で使った除草剤などの影響で街路樹が枯れた可能性が高いことを認めています。
公表時点で、全国18都道府県、39店舗前で街路樹や植え込みが枯れたり、伐採されたりしていることが確認されています。
記者会見
2023年7月25日、東京都内でビッグモーターの首脳陣による記者会見が初めて行われ、会見冒頭で兼重社長は陳謝。7月26日付で代表取締役社長の辞任と、兼重宏一の取締役副社長の辞任が公表されました。
後任社長には専務取締役の和泉伸二が就任し、パワハラや不正の温床ともされる、それまでの社内の慣習を順次取りやめさせていることが明らかになっています。
しかし、一部報道では不透明な点や疑問点が指摘されるなど、会見の内容に対する疑念も根強く残っています。
ビッグモーターの不正によって多くのお客様や関係者が損害を受けています。
この先ビッグモーターはどのような道を歩むのか、注目が集まっています。
存続危機に瀕する中、ビッグモーターが再び信頼を取り戻すためには、不正行為の再発防止に全力を尽くすことが不可欠です。
さらに、お客様や関係者への誠実な対応や透明性の確保も重要です。ビッグモーターはこの厳しい状況を乗り越え、再び成長することができるでしょう。
しかしながら、ここまで不正や不祥事が噴出し、元社員がYouTubeでさまざまなパワハラや不正の告発を行っている現状を考えると、事件はまだまだ発覚しそうな気配を見せています。
『グリスト』では引き続き、ビッグモーターの不正や不祥事、事件を追いかけ、明るみになり次第、続報を報じてまいります。